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 |   2005年1月24日(月) <第1024号>
 ■労働・経営■
 <バックナンバー>
 ○ 井上 充さん
 【61】タクシー運転手と請負
 【62】タクシー運転手という仕事
 【63】雇用情勢
 【64】高齢者雇用の取組み
 【65】NEET(ニート)
 【66】技能系社員登用制度
 【67】個人業務委託
 【68】労働形態の多様化
 【69】雇用対策の転換
 【70】採用の良否
 【71】派遣労働者の現状
 【72】新卒者内定状況
 【73】ICという働き方
 【74】某社人事担当者の悩み
 【75】営業マンの休憩時間
 ※2005年1月24日(月)まで掲載を予定しています。
 
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 - 【76】オーケストラの年収 -
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 日本音楽家ユニオン・オーケストラ協議会の2003年調べによると、全国の主なオーケストラの40歳楽団員の標準年収は、400万円から600万円だといいます。
 
 最も恵まれているとされるNHK交響楽団で1,000万円弱、日本フィルハーモニー交響楽団や東京フィルハーモニー交響楽団では400万円強です。
 
 東京都の外郭団体である財団法人東京都交響楽団で昨年、都の財政再建の一環として、賃金・人事制度の見直しが提議されました(都響の40歳の楽員の標準年収は、700万円)。
 
 見直しの内容は、次のとおりです。
 
 ○ 自主運営楽団に比べ、人件費が高いこと
 ○ 終身雇用制を2年ごとの期間契約制に改めること
 ○ 力量の査定を厳格に行うこと
 
 これらに対する問題点は、次のとおりです。
 
 ○ 楽員の給与は一般サラリーマンに比べ高いのか安いのか
 ○ 契約更改の前提になる技能の査定に合理的基準を設定できるのか
 
 腕次第で他の演奏会への出演や個人レッスン等で稼げるとはいえ、高価な楽器の購入や海外への留学費用の工面等を考えると、日本の楽団員の給与は決して高いとは言えません。
 
 欧米でも、有史以来、オーケストラが経済的に自立した例はありません。常に教会や王侯貴族がスポンサーとしてオーケストラを支えてきたのです。
 
 しかし、都響の見直しにも現れているように、今やオーケストラにさえ、一定の効率や採算性が世界的に求められるようになっています。
 
 楽員の人事考課も、指揮者か楽員相互の判定が主流だったものが、経営サイドによる査定に変わりつつあるのです。
 
 管弦楽の音色がホールを満たす快感は何物にも代え難いものです。ぜひ、早期の解決が計ってもらいたいものです。
 
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