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2002年12月31日(火) <第391号>

■中小企業の戦略的思考・・・1
「市場における競争について」(序)
 ドッグイヤーと言われる昨今、技術の開発、改善のスピードは想像以上に早い。
 昨日まで先端技術であった物が、今日は普通の技術、明日は時代遅れ、何とも早い時間の経過である。中小企業の経営は大企業と違って、体力から言っても赤ん坊と同じである。一寸した怪我でも見逃しておれば、出血多量で死亡。少しでも油断すれば前門の虎どころか、後門の狼に一噛みされ、一巻の終わりとなる。
 我が国は第二次大戦の後、何もない荒れ野の中から立ち上がり、復興を果たしたと言われるが、それは少々間違いである。たしかに工業生産能力は敗戦により壊滅していた。天然資源は全く存在しない我が国土である。しかし、そこには高度に教育された国民と、世界水準の技術が存在していたのである。つまり技術資源大国であった。
 朝鮮半島及び台湾は30年以上、我が国の植民地として統治されていたので、技術と教育が制度として、高度な位置で定着することは不可能であり、戦後の産業構造構築、及び技術水準において、決定的な格差を生じさせることとなった。
 その上、朝鮮半島は戦後間もなく南北の動乱、台湾は大陸からの国民党の移動と、それぞれが大きな問題と混乱に直面する事となり、産業技術の育成どころではなかった。
 これらのことが、我が国との産業構造や技術格差の決定的原因となり、長い間、発展途上国と呼ばれる事となった。戦後の混乱の中、朝鮮半島の動乱は我が国に、はからずも大きな需要を喚起する事となり、この効果で我が国は大きく経済発展する事になった。
 技術資源は一朝一夕の問題ではなく、国民の初等教育に始まり、先人が残した文化、そして最高学府による高等教育、等々様々な要素の結合の結果であり、天然資源を持つのと同じくらい、いや、それ以上に大きな国力である。
 我が国は江戸時代から職人技術に対し、人々は何よりも大きな評価をしてきた。このような文化は韓国や中国には存在していない。朝鮮半島では古来より儒学、朱子学が尊ばれ、現在でも職人技による物づくりより、哲学や宗教を極めることに、より大きな社会的価値観が有るようだ。
 又中国では、付加価値にこそ経済の実態を見ており、職人技の取得、新技術開発などは二の次となる。これらの思考方向は、それぞれの地域の歴史的文化であり、善し悪しの問題ではない。
 現代社会においては「人権と自由」が最も重い意味を持っている。憲法や世界人権宣言に定められているだけではなく、自由競争、自由な発想、生き方の自由、等々自由とつけば大体において正義となる。
 特に企業社会では、競争によって消費者に恩恵を与えるため、独占禁止を旗印に各国とも、企業間の競争は自由に行わせている。競争と言う物は勝者と敗者が存在をし、誰しも勝者になりたいと願い、全力を投入して競争を行う。
 かって柔道は体重別、等というルールは存在せず、軽量級も重量級も混在したまま試合は行われた。しかし国際競技として公認されるにあたり、ヨーロッパ的合理主義とでも言う考え方で、ボクシングやレスリングの様に、柔道も体重別のルールで運用される事となった。
 これは柔道が、古式を尊ぶ伝統武術から、近代スポーツへと生まれ変わった事を示す物で、決して間違った決定とは思わない。
 ビジネスにも自由な市場と自由な競争は保証されているが、行うべき競争と行わない方が良い競争がある。言い換えると、企業として参加しなくてはいけない種目と、傘下しない方が良い種目とがある、と言うことである。
 それには真のビジネスの目的と、真の市場からの要求を理解しなくてはならない、と言うことにも通じる。

■中小製造業の戦略的思考・・・2
「市場における競争について」企業が行うべき競争(前)
< http://www.optworks.co.jp/news_log/2002/0917_286.html >

■中小製造業の戦略的思考・・・2
「市場における競争について」企業が行うべき競争(後)
< http://www.optworks.co.jp/news_log/2002/0924_293.html >

■中小製造業の戦略的思考・・・3
「市場における競争について」企業が行ってはいけない競争(序)
1,価格競争 
< http://www.optworks.co.jp/news_log/2002/0930_299.html >

■中小製造業の戦略的思考・・・3
「市場における競争について」 企業が行ってはいけない競争(中)
2,規模の拡大競争
< http://www.optworks.co.jp/news_log/2002/1007_306.html >

■中小製造業の戦略的思考・・・3
「市場における競争について」 企業が行ってはいけない競争(後)
< http://www.optworks.co.jp/news_log/2002/1015_314.html >

■中小製造業の戦略的思考・・・4
「市場における競争について」企業が行ってはいけない競争
3,品揃え競争
< http://www.optworks.co.jp/news_log/2002/1021_320.html >

■中小製造業の戦略的思考・・・5
「市場へのアプローチ」技術からのアプロ−チ(前)
< http://www.optworks.co.jp/news_log/2002/1028_327.html >

■中小製造業の戦略的思考・・・5
「市場へのアプローチ」技術からのアプロ−チ(後)
< http://www.optworks.co.jp/news_log/2002/1105_335.html >

■中小企業の戦略的思考・・・6
「市場へのアプローチ」技術からのアプローチ
1,デジタル技術による制作。(金型制作に例を挙げる)
 製品設計は3Dキャドを使用。3DCAM に加工された設計データーは、光造型その他の機器でサンプルを制作。形状が決まれば、型設計専用3DCAD を使用して型構造を設計、そして3DCAM に変換されたデーターでマシニングセンターを運転。
 適切に造られた生産ラインを製品データーは移動、関わる作業員はさしたる技術は要らない。必要なのは高度なマシンと3DCAD CAM ソフト、それに人間少々。つまり金で買える技術でありシステムであり、マシンである。勿論、ポイント、ポイントには、様々なノウハウが存在するが、さほどのトレイニングは要らない。
 しかし、システムとして完成させるには、普通に売られているソフトだけでは不可能である。切削工具の選択、条件選択、切削順序の選択、色々とノウハウはある物だ。最高のピアノと楽譜を用意しても(金で買っても)演奏者の腕が最後にものをいう。
2,屋台方式による金型(伝統的技能優先方式)
 ライン化された効率の良い生産方式と異なり、一時は産業界から時代遅れ、と見捨てられたシステムである。(実はジュケンシステムの本質である)
 技能の伝達は、個人的な指導のもとで基礎基本をたたき込まれる。そしてアナログ的技術をマスターすると、始めてデジタル技術へと移行する。あらゆる技術をマンツーマンで伝授し、マイスターを育てるのである。つまり、多能工の極地、万能工を育てるのだ。設計も出来れば切削も研削も、その上3D CAD CAM も自由に使いこなす。金型も最初から最後まで一人で制作可能なマイスターである。
 1,と2,どちらのシステムが良いかは、優劣付けがたい。そしてどちらも、実は職人技が活躍しているのである。3D CAD の使い方、金型設計のための3D CAD は、常に改良が加えられ、そのレベルは無限に向上する要素がある。この改良こそが技術であり、マイスターの世界でもある。
 どちらから技術技能の粋を極めようとしても、高いレベルを望めば、其処には極限まで訓練された、人間の業が必要となる。少々の技では感動は生まれない。見た人ふれた人に感動を与えることの出来る技の結果、これが技術であり技能であり、そこから新しい世界が生まれる。技術から市場へのアプローチとは、新しい世界、つまり新しいマーケットへのアプローチであり、新しい市場、需要の想像である。

■中小企業の戦略的思考・・・6
「市場へのアプローチ」品質からのアプロ−チ
 品質は高い固有技術と、高いレベルの管理技術との相互補完で生まれ、評価されるのである。固有技術と管理技術は、明らかに峻別される物であるが、レベルの低い固有技術から生まれる生産品は、大体いい加減な物だから、高度な管理技術は必要としない。レベルの高い固有技術から生まれる製造品は。精巧で精密で、要求される性能も高度であるはずだ 。従って品質管理技術も論理の確立された、レベルの高いシステムが、品質の性能を発揮するために要求される。
 品質管理を徹底すると言うことは、品質のバラツキを、限りなくゼロに持ってゆくことである。つまり当たり外れを無くすことにある。品質と性能は基本的には全く異なるポイントであり、絶対に混同してはいけない。品質をチェックするのではなく、コントロ−ルするのが品質管理である。
 在庫管理とは在庫の金額を把握するだけではなく、在庫投資を増やしたり減らしたり、コントロ−ルする事が、在庫管理の重要ポイントであるのと、同じ事である。しかし正しいコントロ−ルを的確に行うためには、品質の変化を捕らえ、これを記録し、品質の向かう傾向を判断する事から始めなくてはならない。
 品質管理と言う項目で、市場にかけるアプロ−チとは、下記に示す4項目の実行である。
(1)結果的には品質不良はゼロ。
(2)不具合品ゼロを実現出来る標準作業の確立。
(3)作業が正しく行われた証明、記録。

■中小企業の戦略的思考・・・7
「市場へのアプローチ」財務内容からのアプローチ
 自由市場での自由競争これが簡単に言うところの、競争の原理を表現する競技場である。そして其処には必ず、勝ち組と負け組が存在をしており、悲喜こもごもと言う状況を作り出す。
 負け組の最終的な姿は、財務の破綻であり倒産である。年商1兆円の会社でも赤字になり、手を打たなければ債務超過となり倒産を免れない。又年商1億円の会社でも毎年適切な利益を上げ、納税を行い、悠々と経営されている会社もある。
 つまり会社の大小、売り上げ、社員数、資本金、何れが大きくても小さくても、会社の存続には関係は無い。要は、勝ち組になるか、負け組になるか、どちらの道を行くか、と言ったことに集約される。
 中小企業が頼りにしているのは大企業である。下請けなら直接的な関係を持つが、そうでなくても、大企業の社員の使うポケットマネー、家庭の支出は国全体の消費力であり、どのみち大企業がこの国の経済を支えている。
 世界に誇るハイテク電機産業、合計2兆円を超す赤字、かって世界を股に掛け活躍した、我が国の総合商社は今は見る影も無い、不良資産の山を抱え身動きが付かない。
 公共投資を中心に大きく成長した大手ゼネコン、これまた、不良債権の山、債務超過の大企業。価格破壊、、、等と意味不明な言葉ととももに急成長したスーパー、健全な企業も勿論あるが、大方は赤字、駅前デパートも、最早役割を終えたかの様に業績は急落。つまり国内流通業も一部の例外を除いて全滅状態。
 資本主義の中枢神経、銀行はどうか、証券、保険、言わずもがな、知っての通りである。自動車は、トヨタ、ホンダ、スズキ、の三社のみ健全。いや、日産もマツダも黒字化しましたよ、、。本気でそう思っている人は、よほどおめでたい。外資は傘下におさめた企業を育てるのではなく、本社の栄養分にしたいだけ。
 先人達が血の出る思いで開発し、死守した技術は、いとも簡単に海外へ。
 これではムーデーズが国債の格下げをしても、当たり前。それに、中小企業の7〜8割が赤字、国債の格下げも、ごく自然な結果と言えるでしょう。
 此の厳しい現実の中でも、相変わらず勝ち組として生き残り、これからも勝ち続ける手段、戦略はあるのか、、、?それは間違いなく存在する。
 企業が勝負する種目は、品質、技術、財務内容の三種目である。しかし企業の存立で最も重要な項目は、企業財務であり、財務戦略である。先に挙げた赤字大企業の赤字の原因は、単純ではない。単に財務戦略の間違いだけでは無い。だが、中小企業の世界で、勝ち組であり続けたいのなら、正しい財務戦略は不可欠である。
 自己資本比率・・・・40%以上
 流動比率・・・・・・250%以上
 当座比率・・・・・・200%以上
 固定比率・・・・・・100%以下
 支払い手形発行ゼロ。
 含み資産・土地,債券等々少々。
 競争に強い、常に勝ち組であり続けるためには、品質、技術、しかし企業としての基礎体力が無くては戦略の実行が出来ない。その意味で財務戦略は品質、技術を高めるためにも、絶対に必要な項目である。

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